制作ノート|しほかれ誕生の裏側
『資本主義に疲れて、姉がいなくなりました。』というタイトルに込めた意味
このタイトルは、ただ怖さを狙ってつけたものではありません。そこには、現代の働き方への違和感、起業家やフリーランスが抱える孤独、そして過去の自分を助けられなかった悔しさがあります。
『資本主義に疲れて、姉がいなくなりました。』は、最初からミステリー作品として始まったわけではありません。
きっかけは、SP BRANDINGというクリエイターチームのメンバーが、形ある実績を作り、出世や仕事につながっていくような出版企画を作りたいと思ったことでした。
しかし、普通のブランディング本では読まれない。交流会で配っても、記憶に残らない。だからこそ、ただの教科書ではなく、読者の心に残る物語にする必要がありました。
普通のブランディング本では、きっと読まれないと思った
はじめは、普通のブランディングの教科書のような本にしようと考えていました。
でも、すぐに違和感がありました。
交流会で「本を出しました」と渡されたとしても、本当に読まれるのだろうか。相手の記憶に残るのだろうか。
自分自身、交流会で本をもらったことはあります。けれど、正直に言えば、ほとんど読んだことがありませんでした。
だからこそ思いました。
ただ「ブランディングの本を出しました」では、すぐに記憶から消えてしまう。
読まれるには、強烈なインパクトが必要だ。
そして、読みやすさも必要だ。
そこから、この出版企画は普通のビジネス本ではなく、物語として作る方向へ変わっていきました。
キーワードは「資本主義」だった
タイトルを考える中で、どうしても外せない言葉がありました。
それが「資本主義」です。
自分自身、資本主義に振り回されて失ったものがありました。資本主義の構造を理解しないまま苦しんだ時期もありました。
そして、その話をSP BRANDINGのメンバーにも伝えていました。
今の時代、ただ労働を増やしても、なかなか報われません。売上を上げても、税金に追われる。会社を作っても、維持費に追われる。アポイントを増やしても、時間に追われる。SNSを頑張っても、発信に追われる。
夢を見て、年収を上げようと頑張る。けれど、その先に待っているのが本当の自由とは限らない。
そこに、資本主義の怖さがあります。
現実社会そのものが、すでにサスペンスだった
この作品を作る中で、強く思ったことがあります。
それは、今の日本社会で起きていること自体が、すでにサスペンスなのではないかということです。
- 借金に追われている人
- 税金に追われている人
- 時間に追われている人
- 家族に本当の状況を言えない人
- 夢を追って東京に出たけれど、帰れなくなっている人
- 起業したものの、何をしているのか家族に説明できなくなっている人
こういう人たちは、実際に存在します。
地方から東京に出た娘が、親の知らないうちに起業していた。本人は頑張っている。でも、借金や人間関係や仕事の失敗が重なり、田舎に帰れなくなっている。
連絡は取れる。けれど、もう家には帰れない。親に会わせる顔がない。
それは、ある意味で「実質的な失踪」ではないかと思いました。
物理的に消えたわけではない。
でも、家族が知っていたあの子は、もうどこかへ行ってしまった。
派手な殺人事件や超常現象よりも、現実に起きていることの方が怖い。
本当にあったことを、本当に書く。それが一番怖いのではないかと思いました。
なぜ「姉がいなくなりました」なのか
物語の主人公を考えたとき、最初はいろいろな案がありました。
ポンコツな主人公が成り上がる話。美人な女の子がビジネスで頑張る話。すでに成功している人を主人公にする話。
でも、どれも決め手に欠けました。
そこで、強烈な入口を持つ作品や、最後にひっくり返される作品をリサーチしました。
入り口は強烈に。出口には驚きを。
そう考えたとき、双子の姉妹という設定が生まれました。
- 姉は起業家
- 妹は普通の契約社員
- 双子なのに、性格も生き方も真逆
ただ、この2人が普通に切磋琢磨するだけでは、物語として弱い。
だから、姉を失踪させるところから始めることにしました。
姉がいなくなった。でも、それは単なる事件ではない。その裏には、資本主義に疲れた現代人の現実がある。
こうして、『資本主義に疲れて、姉がいなくなりました。』というタイトルが生まれました。
成功法則は、社会構造を知らない限りミステリーになる
世の中には、たくさんの成功法則があります。
マインドが大事。行動が大事。継続が大事。人脈が大事。SNSが大事。
もちろん、それぞれ間違っているわけではありません。
でも、それだけでは説明できないことがあります。
- なぜ、同じように頑張っているのに報われる人と報われない人がいるのか。
- なぜ、売上が上がっているはずなのに苦しくなる人がいるのか。
- なぜ、自由になりたくて起業した人が、会社員時代よりも追い詰められてしまうのか。
社会構造を知らないまま成功法則だけを追いかけると、成功は一生ミステリーになります。
なぜうまくいったのか分からない。なぜ苦しくなったのか分からない。なぜ自由になれないのか分からない。
その分からなさを、しほかれでは物語にしました。
努力の先に、自由があるとは限らない
この作品で描きたかったのは、努力を否定することではありません。
むしろ、努力している人ほど報われてほしいと思っています。
ただし、努力が積み上がらない構造のまま頑張ると、人はどこかで限界を迎えます。
売上を上げるために、さらにアポを増やす。アポを増やすために、さらにSNSを頑張る。SNSを頑張るために、さらに自分の時間を削る。売上が上がったら、今度は税金や固定費に追われる。
夢を追って、夢を叶えたはずなのに、なぜか自由になれない。
この矛盾を描きたかったのです。
自分自身も、その苦しさを経験してきました。誰も助けてくれなかった。分かってくれる人もいなかった。同じ方向を見て勉強できる仲間もいなかった。結局、自分で解決するしかなかった。
だからこそ、過去の自分と同じように苦しんでいる人が、この作品を通して少しでも構造に気づけたらいいと思っています。
しほかれは「本当にあった怖い話」を融合させた物語
しほかれは、完全な実話ではありません。
でも、完全な作り話でもありません。
自分が見てきた人たち。ビジネスの現場で出会ってきた人たち。起業して苦しんでいた人たち。夢を追った結果、どこにも帰れなくなっていた人たち。そして、自分自身の過去。
そういったいろいろな現実を融合させて作った物語です。
現実をそのまま書くと重すぎる。
でも、物語にすれば届くかもしれない。
資本主義に疲れている人。頑張っているのに報われない人。起業したのに自由になれていない人。SNSやアポイントに追われている人。
そんな人たちに、この作品が何かのきっかけになればいいと思っています。
しほかれとは?
『資本主義に疲れて、姉がいなくなりました。』は、現代の働き方、起業家の孤独、フリーランスや一人社長が抱える営業依存・税金・時間の問題を、ミステリーとライトノベルの形式で描くIP作品です。
しほかれは、資本主義に疲れた人たちの現実を、キャラクター・物語・YouTube・小説を通じて描く作品であり、ビジネス教育とエンタメを融合させた現代型ストーリーコンテンツです。
最後に
『資本主義に疲れて、姉がいなくなりました。』というタイトルは、ただ怖さを狙ってつけたものではありません。
そこには、現代の働き方への違和感があります。起業家やフリーランスが抱える孤独があります。努力しているのに報われない人たちへの問いがあります。そして、過去の自分を助けられなかった悔しさがあります。
この作品が、誰かにとっての答えになるかは分かりません。
でも、少なくとも問いにはなれると思っています。
- なぜ、自分はこんなに働いているのに自由になれないのか。
- なぜ、夢を追ったはずなのに苦しくなっているのか。
- なぜ、成功しているはずの人ほど余裕がないのか。
- そして、本当の自由とは何なのか。
しほかれは、その問いから始まった物語です。
しほかれの世界を、さらに知る
しほかれは、YouTube・小説・キャラクターコンテンツを通じて、現代の働き方や資本主義の違和感を物語として描いています。
初めての方は、まずはキャラクター紹介やYouTube本編からご覧ください。シャソクズ、頭井威奴、池綿弥たちが、笑いと違和感の中から、現代ビジネスの構造を描いていきます。
作者:黒田周兵
コメント